« トラスティベル ~ショパンの夢~ | トップページ | WipeoutHD、配信開始するも・・・ »

2008年9月24日 (水)

THE CAKE IS A LIE!!(Portal レビュー)

「Aperture Scienceのコンピュータ制御トレーニングにご参加いただき、ありがとうございます。 テスト終了後には、ケーキをお出しします」

少し前の作品になるが、当ゲームのEDテーマを偶然耳にして、その歌詞に妙な違和感を覚えたため、早速Steamにてダウンロード購入してみた。 今はもうサービス自体が日本語に対応しているため安心だ。
わたしは元ネタのHalf-Life2やその追加パックが入っているOrange Boxを購入した。 こちらは39.99ドル。 Portal単体ならば19.99ドルだ。 お手軽な上、店頭のパッケージより1000円近く安く買えるけれど、ドルのレートには注意だ。

ちなみに上述したように、当作品はHalf-Lifeシリーズに登場する空間接続装置「Portal」に焦点を当てたスピンオフ作品にあたる。 Half-Lifeに登場するものはBlack Mesa社が開発した巨大なもので、数千光年かけ離れた惑星間を接続してしまうほどのものだが、今作に登場するAperture Science社製のPortalは銃の形態をとっており、数cm~数十m間を接続する短距離用のものだ。 これを駆使して、一見通れなさそうなフィールドをクリアしていく、アクションパズルとでもいうべきジャンルになっている。
スピンオフと言ったが安心して欲しい。 普通にプレイしている限り、Half-Lifeの予備知識が一切無いわたしでも最後まで楽しめた。

さて、早速だが感想を一言で表すならば「5時間で終わる神ゲー」だ。 しかも構成的にパズルを好む人、アクションを好む人から、ストーリー重視のゲームを好む人まで、かなりの広範囲にわたってお勧め出来る強力な一本であった。
詳細を以下に記す。

まずはトレイラーを見てみよう。

見たとおり、左クリックで青い穴、右クリックで赤い穴が空く。 そのふたつの穴が繋がるわけだ。 また、穴を開けられる場所は、コンクリート地であらば地面、床、天井を問わないので、ちょくちょく「穴の向こう側」では重力の方向が変わったりする。 方向感覚どころか、上下感覚すらリセットして挑まないと、なかなか進行は難しい。
ちなみにノーマルプレイの初回では、上のムービーのように瞬間的に判断を下さないと死ぬようなマップはなかなか登場しないのでご安心頂きたい。

まあ、Stage1を実際に見て頂いた方が早いだろう。 なお、ネタバレ回避のため、プレイを予定している方は「少なくとも」ムービーのパート7~8以降ご覧にならないことを強くお勧めする。

ご覧頂いたように、このゲームの構成要素や外見は基本的にごくシンプルなものだ。 そのため私は、「こういう面白い機能を作ったから、デモソフトを作ってみるか」といったサンドボックス的なソフトを想像していた。 最近の例で言うなら無限回廊のような。 しかしそれは甘かった。 Valve Softwareの連中はこれだけのソフトに、恐ろしいまで濃厚な世界観と設定を含ませてきていたのだ。

ゲームは主人公が目を覚まし、コールドスリープ装置のようなものを出るところから始まる。 当面の目的は、AIによるアナウンスの指示を聴きながら、Portalの使い方を一つずつ学んでいくことだ。
レッスンは19段階あり、最初のうちはとても安全なエリアで、Portalの基礎を学ぶことができるだろう。 しかし、10もレッスンをこなす頃には、プレイヤーはこの「施設」の異常性に気付きはじめるに違いない。
不自然なまでに安全を強調するAIに対して、危険度を増していくレッスン。 抹消されているらしい主人公の過去。 存在しない監視者。 そして、以前ここを通ったであろう「先人」の痕跡。
レッスンを修了させた後には何が待っているのだろうか?

ストーリーは以上のような感じで進む。 尤も、ストーリーといってもナレーターやらが話してくれるわけではなく、すべては状況とアナウンスからの推測に過ぎない。 だがその気付かせ方、演出などの出来が傑出している。 最初はPortalデバイスで楽しく遊んでいながら、レッスンをこなすうちに段々と違和感を覚え、気付けばシチュエーションスリラーの世界に足を踏み入れさせられている、そんなゲームにしか出来ない演出でありながら、傑作映画のような趣すら漂わせる。
この手の話は日本人好みだと思うのだがどうだろう?

さて、最後に有志がオリジナル映像をつけたエンディングテーマを貼っておこう。 繊細なメロディのとても良い歌だ。 私としては歌詞の意味を深く考えず、是非プレイ後に改めてエンディングで聴いていただきたい。 XBOX360版、及びSteamからDL出来るPCの日本語版なら歌詞が日本語訳で表示されるはずだ。
プレイ後にはきっと「彼女」とケーキを食べたくなることだろう。
もしくは、最悪の後味でしばらく食欲が無くなるかもしれないが。


Portal - Still Alive typography from Trickster on Vimeo.

PS: このゲームを一通りやって、AIの発する言葉の意味と「何故主人公がこのレッスンを辿ったか」を考えたとき、この歌詞にある「生きている人たち(the people who are still alive)」の意味が逆転する。 とてもおぞましい言葉になっていることに気付くだろう。 そこで彼女を嫌悪するか、同情してしまうかはプレイヤー次第だ。

|

ゲームレビュー」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/507758/42574645

この記事へのトラックバック一覧です: THE CAKE IS A LIE!!(Portal レビュー):

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)